ADMIN TITLE LIST
Selected category
All entries of this category were displayed below.

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


重要なモノ?金では無い何かを・・・。
久しぶりの文学レビューです。けっこう読んではいたのだけれど・・・

波のうえの魔術師 レビュー:10点中7点

著者:石田衣良
あらすじ:あの銀行を打ち落とせ!謎の老投資家が選んだ復讐のパートナーはフリーターの<おれ>だった。マーケットのAtoZを叩き込まれた青年と老人のコンビが挑むのは、預金量第三位の大都市銀行。知力の限りを尽くした「秋のディール」のゆくえは・・・。新時代の経済クライムサスペンスにして、連続ドラマ化話題作。(裏表紙引用)


豊富な知識とそれを具現化するセンス。そして、物語を読ませる上手さ。物語初盤からグイグイと引き込まれていく。株や経済を題材にしているのに、その取っ付きにくさがほとんどと言って良いほど無い。人によっては、経済や株に興味を持つのに一役買うかもしれない程である。

まさに、物語初盤の主人公の言葉「ちょっとおれの話をきいてみるといい。絶対に損はさせない」が、読み終わると理解できるかも知れない。

但し、だからと言って、「株をするべきだ!」と押し付けがましさだけが残る作品ではない。読み終わった時、人それぞれの感じ方があるだろう。実際、この物語に登場する主人公の彼女(ミチル)の存在は、それを解釈する上で重要な存在だと思う。


さて、私がこの作品を読み終えて、誰が正義なのか?と聞かれたら、正直困る。主人公が正義だとも思えない。もちろん、銀行なんて最悪だし、裁判所も同じだ。この物語が奏でるのは、資本主義という社会基盤の中の不条理でしかない。しかも、実際の史実を元に構成されているのだから恐ろしい。この作品が訴える事の真実は其処にあるのではないだろうか。

私は正直複雑な心境である。
これからそんなどうしようもない世界に飛び込んで行くのだから・・・

              






よろしければ、応援していただけるとありがたいですm(--)

スポンサーサイト

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌


今日、実家に帰るので、二週間程ブログお休みします。

ノルウェイの森 レビュー:10点中9点+

著者:村上春樹
あらすじ:暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルグ空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの「ノルウェイの森」が流れ出した。僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長篇小説。(上巻、裏表紙引用)


――何故なら直子は僕のことを愛してさえいなかったからだ。

衝撃的な始まりの言葉は、終わりであり始まりを示唆していた。この小説の喪失と再生はそこに存在する全ての事象でしかない。私は思う、恋愛というものをえがく時、本当の意味での真実をえがききるには、そこにある事象をありのまま伝えることではないのかと・・・

そういう考えに到ったとき、これ程、素晴らしい恋愛小説はないのではないだろうかと思う。この小説は、少し歪んだ、ある意味「歪」である一面が存在する。それが嫌いな人には相対せない物語であるかもしれないが、「人」というものの存在は必ずしも「歪」ではないと言い切れない。だからこそ、この物語は何かを人の心に訴える力がある。

この物語では「生」と「死」が重要な意味を持っている。そして、それは同時に「別れ」「喪失」である。「再生」とはそこから生じるものであり、それと同時に、「弱さ」という人のあるべき姿がこの小説でえがかれている。それをこの著者は巧みにえがききっていると思う。人によって感じ方は違うだろうが、きっと何かを考えさせてくれる小説である。私は、素直に素晴らしいと思う。

また、5年後ぐらいに読み返したいと思う。その時代、時代で必ず新たな発見があるだろう。記憶が曖昧になっていくように・・・彼女の事を思い出すのに時間がかかるように・・・

        






よろしければ、応援していただけるとありがたいですm(--)m

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学


今日から学校が始まった・・・ちょっとテンション下がり中。(学校が始まったからではないけど)

神狩り レビュー:10点中8点

著者:山田正紀
あらすじ:工場現場で見つかった弥生時代の石室には、謎の<古代文字>が刻まれていた。情報工学の若き天才島津圭介は、その解明に乗り出した。が、古代文字は人間にはとうてい理解不能な構造を持つことが判明する。この言語を操る者、それは神なのか?だとしたら、嘲笑うように謎の言語を提示する神の真意は?やがて圭介は、人類の未来を賭けた壮絶な闘いの渦に巻き込まれていく――壮大なテーマでSF界を瞠目させた傑作長篇(裏表紙引用)


久々に会心の一撃をくらった。山田正紀は、私の敬愛する小説家の一人。やっと、処女作を読んだわけだが、読むのが遅すぎたぐらいだ。

「――語りえぬことについては、沈黙しなくてはならない。」

私の中の傑作と言うのは得てして、芸術というものが内在する。映画にしても文学にしても漫画にしてもだ。だからこそ、8点という点数を越える作品に関しては、素直におすすめは出来ない。そして、そういう芸術を内在する作品というモノは、創り手の自己愛、利己、自慰的なモノが含まれてくるものだ。(作者にその意図は無かったらしいが)そういうモノが嫌いな人は読むべきではないかもしれない。

それにしても、素晴らしい。まさか処女作でここまでの完成度を誇る作品は稀有以外の何ものでもない。当の本人は謙遜気味?ではあるが。何が素晴らしいかという問いに対して、私の言葉で語るのは難しい。読んでくれとしか言いようがないが、しいて挙げるのであれば、その知識に裏付けされたストーリー性だろう。

「神」という漠然不明確な存在を「敵」に仕立てあげる。その行為自体、無謬性と無謬性の闘いのようなものだろう。それをここまで、巧みに描く山田正紀という存在は、天才以外の何ものでもないだろう。彼自身はそれを否定してはいるが・・・

山田正紀は、「最後に大傑作をものにしてやる」と記している。果たして、これ以上の作品を拝めるのか?まだ、読んでない山田正紀文庫は多くある。これからも楽しみにしたい。ついでに、これの2を読んでみよう。不評らしいから少し躊躇うが・・・


「世界は私の世界である。
世界が私の世界であることは、言語の限界(私だけが理解する言語)が私の世界の限界を意味するということに示される」
(ヴィトゲンシュタイン)

             






よろしければ、応援していただけるとありがたいですm(--)m

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学


「白夜行」。近年まれにみる、良いドラマだった。ちょっと、落ち込むけど・・・そのうち、小説も読んでみたいと思う。

4TEEN レビュー:10点中6点

著者:石田衣良
あらすじ:東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない――。
友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。(裏表紙引用)


石田衣良の作品で読むのは二作目。「娼年」に比べると、短編型に綴られていて実に読みやすく、中学生、高校生辺りが読むのにちょうど良いかもしれない。でも、大人になったからこそ読むべき本だと言える。大人になって失くした何かを感じられる。それは、友情、情熱、純粋な愛だったりするが、それ以上に、大切な――を感じることができるだろう。

14歳という年は特別な時代ではないだろうか。少なくても、私には特別な時だった。一生に渡って付き合う仲間が出来たのもこの時期だし、悪いこともしたし、学級崩壊なんかもした。その分、絆が深まり今でも年に一回、学級の皆で会う。恋愛には無頓着だったが、それなりに、色んな性を感じる時期でもあった。将来に不安を覚えるのもこの時期だった・・・・

多くの人が14歳という年に何かがあったわけではないだろうけど、この時代、この季節に、何か多くのものを得たことだろう。そういう、何かを再び感じたい人におすすめの小説だ。小説自体は、そこまで面白い、すごい!と思わせる小説ではない。個人的には、「娼年」の方が好きではあるが、これはこれで、読みやすく誰にでもおすすめできる良い小説だと思う。

        






よろしければ、応援していただけるとありがたいですm(--)m


テーマ:ブックレビュー - ジャンル:小説・文学


東京まで行く電車の中があまりに暇なので、前々から友達が言ってた、小説を借りて読んでみる・・・

娼年 レビュー:10点中7点+

著者:石田衣良
あらすじ:恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。だが、バイト先のバーにあらわれた、会員制ボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ、とまどいながらも「娼夫」の仕事をはじめる。やがてリョウは、さまざまな女性のなかにひそむ、欲望の不思議に魅せられていく・・・(裏表紙引用)

石田衣良さんの著書を読むのは初めてだ。池袋ウエストゲートパークの原作者だということは知っていたが、それ以上の興味を持つことは無かった。初めて読んだ感想としては、五感を使った表現が巧みだと思う。視覚はもちろんだが、それ以上に嗅覚や触覚にまでその表現は行き届いている。

もちろんそれは、セックス描写にも感じられる。しかし、この小説の肝はそこではない。セックスはあくまで、欲望の中の一つの形にしかすぎない。出てくる登場人物には多種多様な欲望の形がある。欲望はどこまでいっても真実も深部も見えない。主人公のリョウは真実も深部も見たくないと言う・・・それでも、その世界の果てを見てみたいと言うのだ。彼は、最終的に何を見つけるのだろう・・・その答えは・・・

この小説の最後は、私には賛同できない部分があるし、納得はさせてくれない。それでも、何かやさしさの様なものを感じることが出来る。それは、登場人物が全員やさしいことにも繋がるのかもしれないが、それとは違う何か不思議な気持ちになる。

世の中に「常識」なんてものはあるのだろうか・・・。疑問を抱きながら、みんな規範に従いながら生きる。そこに穴を空けるようにこの小説は訴えかけてくるのだ・・・・


      






よろしければ、応援していただけるとありがたいですm(--)m

テーマ:小説 - ジャンル:小説・文学



| HOME |

Design by mi104c.
Copyright © 2017 Be here now, All rights reserved.



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。